理系大学院生が「Tick, tick... BOOM!:チック、チック…ブーン!」を観て、数か月経ってもいまだにジワジワ感動してるだけの話

こんにちは。

 

2021になってコロナも少し落ち着きを見せ始め、今年はいろんな傑作映画に出会うことができました。その中でも僕的2021年ベスト映画はアンドリュー・ガーフィールド主演「Tick, tick... BOOM!:チック、チック…ブーン!」です。ネットフリックス配給なので劇場では小規模公開だったのですが、評価が高かったので、いつもは観ない映画館で観てきました!

(ネタバレなしです!念のため)

f:id:kuwaaa:20211229174256j:plain

ヒューマントラストシネマ渋谷にて

1990年のニューヨーク。食堂のウェイターとして働きながらミュージカル作曲家としての成功を夢見るジョナサンは、オリジナルのロックミュージカルの楽曲を書いては直しを繰り返していた。もうすぐ30歳を迎え、これまでともに夢を見てきた仲間たちも現実に目を向け始め、焦りを覚えるジョナサン。自分の夢に価値はあるのか、時間を無駄にしているだけではないかと自らに問いかけながらも、時だけが過ぎていき……。(映画.comより引用)

この映画のスゴイところは楽曲のすばらしさはもちろん(これだけでも観る価値あります)なのですが、時間の切迫感とアンドリュー・ガーフィールド演じる作曲家ジョナサン・ラーソンがもがき焦りながら前向きに生きる姿。

主人公ジョナサンは有名なミュージカル「RENT」を世に残した、という知識だけで臨んだのですが、いやあ恐れ入りました。数か月経った今でも時折思い出しては励みにしているほどの作品です。偉大なミュージカルを生み出す主人公が自分と同じように焦り苦しむ姿に冒頭から一気に引きこまれました。焦りを覚える主人公の頭の中で「チック、チック…」と時計が時を刻む音が聴こえる演出と主人公の不安げな表情が印象的です。

 

なぜ僕がこの映画を好きになったかというと、日々大学で研究にいそしんでいるのに、結果が出ない日々が続いている姿が主人公と重なったからです。

これまで人並み以上に勉強してきて、今では週6日でプライベートより研究優先で生活しなければならない日々。自ら望んだ環境なのに結果は出ず、やっとできても学会で発表できるくらい。自分は頑張っていると思っているのに優秀な人たちはずっとずっと自分よりも努力していて、うらやむほどの輝かしい成績も出している。はるか高い壁を感じる毎日でこのまま論文も出せず、埋もれていく焦燥感を感じるばかり。

特に外見がよかったり、特技があったりするわけでもない平凡な自分に嫌気がさし、自分に価値を見出せなくなりがちで。。ポジティブでめげない主人公に思わず鑑賞中ジーン、となってしまいました。カップルで鑑賞していたお客で、隣に座った女性の方は途中号泣していましたね。。ワカルヨその気持ち(なお自分はぼっち)。

 

本作品でアンドリュー・ガーフィールドは徹底的に実在のジョナサンに寄り添っており(見た目もそっくり)、いつもの好青年といった雰囲気は残しつつも、どこか冴えない、どこにでもいるようなアラサー役をアメイジングに熱演。ぜひアカデミー賞で主演男優賞とってほしいな。。アンドリュー・ガーフィールド、さらに好きになりました。

 

この作品を観たのは結構前ですが、本作は時間がたっても思い出す、また見たくなる映画で個人的にどんな方にもおすすめできる傑作です。結局何を書いても自分の目で観ることが一番なので、気になった方がいればおススメします。(ネットフリックスで配信中)。自分的お気に入りシーンは冒頭の「30/90」のシーンと時計が時を刻む演出全般。

 

評価が思っているより伸びないのは、楽曲が「ラ・ラ・ランド」のようにキャッチーでないことと、テーマがやや重くライト層に受けにくいからでしょうか。映画館で大規模公開でなかったのはもったいない!!今後の賞レースで話題になるといいなあ。

 

今回、ヒューマントラストシネマ渋谷の1番スクリーンで観たのですが、音響・観客の雰囲気ともに素晴らしかったです。いつもは大きなスクリーンで見るのですが、こういうのもいいですね。傑作に出会ただけなく、好きな映画館が増えてよかった。。

 

それではまた!!